阿部菜穂子が2025年10月21日、イギリス南西部バースのバース大学で、同大学園芸クラブの会員を対象に「チェリー・イングラムとその豊かな遺産」というタイトルで講演した。これは本学年度におけるクラブの最初の集まりで、約100名の会員が出席した。
講演で、阿部菜穂子はコリンウッド「チェリー」・イングラムの生涯や、桜の花が持つ象徴性(シンボリズム)について語り、第二次世界大戦中に日本で桜が軍事イデオロギーに利用されたことにも触れた。
また、彼女の英語による二作目の著書『The Martyr and the Red Kimono』についても話した。この作品でも桜が重要な役割を果たしている。本書のテーマは「戦争と平和」—すなわち、抵抗・犠牲・和解—である。今夏出版された日本語版の題名は「アウシュヴィッツの聖人を追いかけてーーある被爆者と桜守の物語」(岩波書店)である。
講演終了後、クラブの司会者は、現在の世界で戦争や紛争が多発している中で、この講演は非常に時宜を得た内容だったと述べた。そして、阿部菜穂子の著書が伝える「平和と和解のメッセージ」を、私たちは常に心に留めておかなければならないと語った。

*阿部菜穂子は今回、夫のポール・アディソンと共にアメリカ人プラントハンターのデリー・ワトキンス(クラブの会員)宅に滞在した。家はバース郊外の風光明媚な地にあり、裏に広大な庭園があった。デリーはイギリス人建築家の夫、ピーターと共に1996年に荒れ果てた納屋を購入し、快適でモダンな住まいと庭園に改装。デリーが世界各地で収集した珍しい植物や低木を植えて、素晴らしい庭園を創った。自宅の隣では「スペシャル・プランツ・ナーサリー(Special Plants Nursery)」という園芸店も開いている。




