★2022年3月18日「チェリー・イングラム」の桜が100年経って日本に「里帰り」

日本で絶滅していた5品種の桜が、このほど英国から日本に里帰りしました。これらはすべて、「チェリー・イングラム」ことコリングウッド・イングラムが1920-40年代に英ケント州の自宅の「桜園」で育成した桜で、富山中央植物園の桜の専門家、大原隆明氏によって同植物園に導入され、100年ぶりに生まれ故郷の日本に帰りました。

里帰りしたのは、’ダイコク’、’アサノ’、’オオキクザクラ’、’ココノエザクラ’、’スミゾメ’ の5品種。大原氏は2017年に渡英し、英国で400種以上の桜を育成しているケント州のクリス・レーン氏の苗圃を訪ね、日本では消滅していたこの5品種を確認。富山中央植物園にこれらを導入して里帰りさせることを決めました。また、同時に、英国など欧州で開発されて日本にはない品種や、かつてプラントハンターが英国に持ち込んだ品種等10種類の桜も日本に初導入することにしました。

さっそく、富山中央植物園と友好関係にあるオックスフォード大植物園の協力を得て15品種の桜の穂木をクリス・レーン氏の苗圃から輸入し、接ぎ木をして「日本花の会」結城農場に委託して育てていました。

桜は順調に育ち、昨年から今春にかけてすべての苗木が無事に植物園に到着し、植樹されました。

「里帰り」桜のうち、’ダイコク’は、イングラムが1926年の訪日の際、すでに日本にはないことを知り、里帰りさせることを日本人に約束していました。イングラムは1932年に、純白一重の大輪の花をつける’太白’を里帰りさせたことで知られていますが、’ダイコク’については、里帰りが実現していませんでした。

また、’アサノ’は、1926年の訪日時にイングラムが富士山麓の村で発見した豪華なピンク色の八重桜で、その後イギリスで人気を博しましたが、日本には導入されずじまいでした。

イングラムが「日本にお返しする」と約束してからほぼ100年後に、里帰りが実現したことになります。

クリス・レーン氏はイングラム亡き後の、英国の新しい「桜守」の一人です。イングラムが英国に導入した桜はもちろんのこと、その後も多様な桜を導入し続け、現在では400種類を超す桜を苗圃で育てています。日本国外では最大の桜のコレクションを誇ります。

「チェリー・イングラム」が英国に根付かせた桜の伝統は、いまもしっかりと後継者に引き継がれ、今回のように「日本への里帰り」も実現するに至りました。

ダイコク花枝.富山県中央植物園バックヤード
ほぼ100年ぶりに日本に里帰りした’ダイコク’

                     

アサノ花
1926年にイングラムが発見した’アサノ’

  

オオキクザクラ花
「里帰り桜」のひとつ、’オオキクザクラ’

写真提供:富山中央植物園

桜の「里帰り」と「日本への初導入」を記念して、富山中央植物園では3月18日から4月20日まで、特別展示会「おかえり&はじめまして」が開催されています。英国から桜を導入したいきさつや、イングラム以来の英国の桜の伝統、日英の桜の交流史などを大がかりなパネルで説明、展示しています。

View if the exhibition with the british flag

                      「お帰り&はじめまして」展示会場

Presentation of different flowers and books
’チェリー・イングラム」の業績も展示

cherry ingram and naoko's book

イングラム著「観賞用の桜」(1948年)とともに阿部菜穂子著「チェリー・イングラム」日本語版と英語版も展示 

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クリス・レーン氏に関する展示 

 写真提供:富山中央植物園

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