アウシュヴィッツの聖人を追いかけて ある被爆者と桜守の物語

アウシュヴィッツに斃れたマキシミリアノ・コルベ神父、長崎原爆を生き延び信仰の道に進んだ田川幸一(のちの小崎登明)、海外へ贖罪と友好の桜の寄贈を続けた浅利政俊の三人を主人公に、戦争の時代に平和を求め続けた人びとを重厚に描き出す感動のノンフィクション。(本書表紙より)

小崎、浅利、コルベ神父の三人は、互いに面識はなかった。しかし取材を進めるうちに、彼らの人生 は交錯し、共鳴していった。そして、日本の桜が「平和の使者」として三人の足跡を繋ぐ思わぬ役割を 果たしていたことも浮かび上がった。 三人は、前例のない苦しみを経験し、コルベ神父は命を落としたが、小崎と浅利は戦後、希望と光を 見出して暗闇から立ち上がり、世界に平和と和解をもたらすべく努力した。人間愛に満ち、毅然とした 彼らの姿勢は、一貫してひと筋の光を放ち、世界情勢が混迷を深める昨今にも、燦然と輝いている。(本書 プロローグより)

Reviews from Amazon

* 戦後80年の節目に読みたい労作

本書が、日本では戦後80年の節目に出版されたことは、先の大戦、ことに原爆投下を決して忘れないという意味でもたいへんに意義のあることだと思います。

英国在住の著者、阿部菜穂子さんは、2016年に『チェリー・イングラム:日本の桜を救ったイギリス人』を著し、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しているので、「桜」のイメージが強いですし、第2作となる本書にも「桜守」が副題にありますが、主題は、戦争を二度と繰り返してはいけない、ということに尽きます。

それを、広島、アウシュヴィッツ、北海道七飯町などを舞台に、篤いカトリック信仰と桜が結ぶ縁をたどり、元新聞記者らしい熱心さで追い、壮大なドラマを浮かび上がらせました。

昨年、出版された本書の英語版は、英タイムズ紙に「ヒロシマ、ナガサキ原爆に関する必読書7冊」の1冊として紹介されました。

戦後80年の記念すべき出版物となることでしょう
。(Musashi48)

* 戦後80年にぜひ読んでもらいたい一冊

タイトルからはアウシュビッツの話かと思いきや日本の話が中心である。イギリス在住の日本人ジャーナリストという立場で、日本国内と西欧からの両方の視点を持ち合わせている作者による記述は大変貴重。3人の主人公が出てくるが、特に長崎で原爆にあいながら、奇跡的に生き延びた小崎登明氏のその時の日記は涙無くして読むことができない。
第二次世界大戦前後の歴史の教科書としても価値のある本である。多くの人に読んでもらいたい、とりわけ高校生、大学生など若い世代の方にお勧めの著書である。(守本泰夫)

*桜に込められた被爆国日本の平和への想いを紡いだ作品

最期までいのちと向き合ったコルベ神父、長崎で被曝し生涯トラウマを抱えながら生きることで戦争の悲惨さを伝えたかった小崎登明神父、戦争がもたらした悲劇を見つめ贖罪と平和へのメッセージを大事に育てた桜に託し世界に送ってきた浅利政俊さん。その3人の魂と出会い、著者が託された使命感に導かれ、日本人お二人とは丁寧な取材によって戦争に翻弄された3人の揺れる心情や苦悩や葛藤を深く掘り下げています。3人の生き様を通し、受け継がれた平和へのメッセージが込められています。紛争が絶えず多くの人の生命と生活の安全安心が脅かされている今、戦争の悲惨さを風化させないよう過去から学び、平和について自身ができることを考える貴重な契機となりました。多くの人に読んでもらえたら思います。(Rei)

*7年にわたる調査と取材で浮かび上がった壮大なドラマ

イギリス在住のジャーナリスト、阿部菜穂子さんの第2作。昨年、まず英語で出版され、それを著者自ら日本語に翻訳したのが本作だ。

アウシュヴィッツで囚人の身代わりとなって殺害されたポーランド人神父マキシミリアノ・コルベ、長崎で原爆の中を生き延びその経験を伝えた田川幸一(小崎登明)、海外への贖罪と友好のため「平和の贈り物」として桜の寄贈を続けた浅利政俊。

お互い出会ったことがない三人の人生を、桜が横糸でつなぎ、交差させた。三人とも戦争の地獄を経験し、ひとりは命を落とし、二人は生き抜いたが、桜の木は平和のメッセージを運んだ。この本からは三人による渾身の反戦のメッセージが生々しく伝わってくる。

浅利がコルベゆかりのポーランドの修道院に贈った桜の「その後」を、7年にわたる丹念な調査と取材により、壮大な人間ドラマとして浮かび上がらせた著者の努力と執念に敬意を表したい。この本がなければ、大切なことが歴史の闇の中に消え去っていたかもしれない。 (井坂公明)

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